VERDA GEMO Speciala numero
私が埼玉エスペラント会に入会したのは2017年12月で、そのころは佐々木さんは例会に出席することもなくなっていたので、私が実際に佐々木さんにお会いしたのはほんの数回しかも挨拶以上の言葉を交わしたことは1度しかない。しかし私は佐々木さんと不思議に縁がある。まず私は埼玉大学教養学部出身である。私が在籍していたときも佐々木さんは埼玉大学教養学部で教鞭をとられていたはずだが、残念ながら私はロシア語に縁がなく存じ上げる機会もなかった。そして私が初めて埼玉エスペラントの例会を訪れた時、そこで話題になったのが佐々木さんが『墨子』を出版したことで、石川智恵子さんにその本を見せていただいのを覚えてる。
唯一会話らしいものをしたのは2018年11月、上智大学で行われた講演「エスペラント詩人ウィリアム・オールドの世界」の後、聴講していたのエスペランティストたちが沖縄料理店に繰り出し、私も誘っていただいて近くに座らせていただいたときだ。ほとんどベテランの方たちだったが佐々木さん含め皆さん気さくで、楽しい時間を過ごした。私は佐々木さんが中国語関係の教授だと勘違いして間抜けな発言をして恥ずかしかったことを覚えているが、これも佐々木さんの守備範囲の広さのせいだと今は思う。
第106回の埼玉で行われた日本大会では私はLKKとして忙しく佐々木さんの講演は聴けなかったが、大会の後の2019年10月ミカエル・ブロンシュテインがJEIで講演し佐々木さんが通訳し、それを聞くことができた。
大会の後、佐々木さんは講演の資料(『速修日本語』と『日本語 動詞、形容詞変化表(佐佐木式)』)をインターネットで公開する場所を探していて石川さんに相談し、埼玉エスペラント会のホームページを置いているサーバーに置くことになり、ホームページを管理していた私がその作業をした。また10年以上前に、当時埼玉エスペラント会のホームページを管理していた田中滋さんが、やはり佐々木さんに頼まれて今まで書いた記事や書籍のデータをホームページ内に置いていたが、サイトの引っ越しやリニューアルでリンクが切れたりしていたので、それも整理し先の速習日本語の資料も含めて独立したサイトにした。日中エス語そしてスペイン語の雑誌記事もありの多言語資料を置くサイトを何語で作るのか迷って結局タイトルは「佐々木照央作品」という中国語っぽいタイトルにした。これだけの資料を置いているのだから佐々木照央がどんな研究者なのか分かった方が良い。私はプロフィールを作っていただくようお願いして、わかりました、とお返事をいただいた。その後「おくのほそ道」、「孟子」の原稿はいただいたが、プロフィールは結局来なかった。佐々木さんは常に新しい仕事に邁進していて、過去を振り返って自分のプロフィールをまとめる時間も惜しかったのかもしれない。佐々木さんがご自分の著作を惜しみなく埼玉エスペラント会に預けてくれたおかげで、ネットで「佐々木照央」を検索すると会のホームページが上位に表示され、埼玉エスペラント会のとしてはありがたいかぎりである。佐々木さんを顕彰するウェブサイトの一つとして今後も少しずつでも充実させていきたい。
とはいえ私はホームページにある佐々木さんの著作を一部しか読めないで死ぬだろう。佐々木さんの著作は生き続ける。
2023年3月