カテゴリー
printempo 2026 会報

Iĉi語(仮) 16条の文法

VERDA GEMO   2026 printempo n-ro 16

PIPI iĉiro

 徒然なるままにエスペラントを学んで相変わらず初心者なままな日々。

 いつまで経っても初心者のままなのですが学習していると、「語順はSVOで固定にならないかな」とか、「動詞は不定詞が -i なのに、どうして -is が現在形じゃないのだろう」とか、「複数形の -j はもう少し簡略化できないのかな」などと、時々考えてしまいます。

 エスペラントは『Fundamento de Esperanto(エスペラントの基礎)』によって、誰も改変してはならないと定められています。

それでも、「こうなったらいいのに」ということをメモしていたところ、かなりの量になりました。

 メモをまとめるとエスペラントの“方言”のようなものになりました。

 Iĉiroの語でIĉi語(仮)です。

 その内容を16条の文法っぽくまとめてみました。

 厳格なエスペランティストに怒られませんようにm(_ _)m


Iĉi語(仮) 16条の文法

1. 冠詞

不定冠詞は置かない。定冠詞は la 一つだけであり、性・数・格によって変化しない。

  • la hundo = その犬
  • la domo = その家

2. 名詞

名詞は語根に -o を付けて作る。複数は必要に応じて -z を付けて表す。ただし、数詞や数量語によって複数がすでに明らかな場合、名詞に -z を付けないのを原則とする。

  • hundo = 犬
  • hundoz = 犬たち
  • tri hundo = 3匹の犬

3. 形容詞

形容詞は語根に -a を付けて作る。形容詞は原則として 名詞の前 に置かれる。形容詞は通常、名詞と数の一致をしない。

比較級は pli、最上級は most によって表す。”〜より” は ol で表す。

  • bona domo = よい家
  • tri granda hundo = 3匹の大きい犬
  • pli blanka ol negxo = 雪より白い

4. 数詞

基数詞は格によって形を変えない。基本数詞は次の通りである。

nul (0), unu (1), zor (2), tri (3), kva (4), fiv (5), muc (6), sep (7), okt (8), gav (9), dek (10), hekt (100), kilo (1000)

十・百などは、数詞を単純に結合して作る。たとえば 533 = fivhekt tridek tri とする。

序数は -a を付けて作る。

  • tria tago = 3日目
  • po fiv = 5つずつ
  • zorhekt = 200

5. 代名詞

人称代名詞は次の通りである。

mi(私), vi(あなた), li(彼), shi(彼女), hi(性別を特定しない人), miz(私たち), liz(彼ら)

所有形は -es を付けて作る。複数は必要に応じて -z を付ける。

再帰は 代名詞 + mem によって表す。

  • mies libro = 私の本
  • mizes domo = 私たちの家
  • li vidib og limem = 彼は自分自身を見た

6. 動詞

動詞は人称・数によって形を変えない。

動詞の基本形は次の通りである。

  • 不定形 -i
  • 現在形 -is
  • 過去形 -ib
  • 未来形 -ir
  • 働きかけ形 -ik

分詞は次の二つを基本とする。

  • 能動分詞 -ip-
  • 受動分詞 -it-

  • mi venis = 私は来る/来ている
  • li venib = 彼は来た
  • shi venir = 彼女は来るだろう
  • bonvolik veni = どうぞ来てください

7. 基本語順

本言語の基本語順は SVO である。通常の平叙文では、主語を先に置き、次に動詞、その後に目的語や補足成分を置く。

  • mi legib og libro = 私は本を読んだ
  • hi achetib og pano = その人はパンを買った

8. 直接目的語

直接目的語は、通常 og によって示す。本言語では、エスペラントの通常の対格 -n を一般文法の中心には置かない。

  • mi vidib og hundo = 私は犬を見た
  • shi trobib og shlosilo = 彼女は鍵を見つけた

9. 目的語補語

目的語補語を伴う文では、目的語の後に as を置いて補語を導く。したがって、SVOC 型は S + V + og + O + as + C を基本とする。

  • mi nomib og shi as doktoro = 私は彼女を医者と呼んだ
  • liz elektib og li as prezidanto = 彼らは彼を議長に選んだ

10. 名称表現

「〜という名の」「〜と呼ばれる」は、du によって表す。

du は、普通名詞のあとに置いて、その名称・呼称を導く。

  • urbo du Tokio = 東京という都市
  • manĝejo du Umaya = うま屋という名の食堂
  • tekniko du AI = AIという技術

11. 副詞

副詞は語根に -e を付けて作る。文副詞は主として文頭に置き、動詞を修飾する副詞は主として動詞の直前・直後に置く。

比較級・最上級は形容詞と同様に pli, most を用いる。

  • li rapide kurib = 彼は速く走った
  • mies frato kantis pli bone ol mi = 私の兄弟は私より上手に歌う
  • shi kuris most rapide en shimem familio = 彼女は家族の中で最も速く走る

12. 前置詞

前置詞は名詞句または不定詞句の前に置かれる。各前置詞は原則として、できるだけ一定した意味を持つ。

本言語では、重要な統語関係を曖昧な前置詞に頼らず、og, as, bu などの専用標識によって表すことを好む。

  • kun shi = 彼女と
  • por vi = あなたのために
  • post skribi og letero = 手紙を書いた後に

13. 方向表現

方向は、対格語尾ではなく、通常 al によって表す。

  • al domo = 家へ
  • al Londono = ロンドンへ
  • al kie vi iras? = あなたはどこへ行きますか

14. 未知・未提示の先行詞

未知・未提示・これから特定されるものを扱うために wi- 系を置いて予告する。wi- の後に内容説明がある標識になる。

  • Tio estis wiel malvarma giel glacio = それは氷のように冷たい
  • Mi vidib wiun giu kuris en parko = 私は公園で走っていた人を見た

15. 重い後置修飾

名詞の後ろに長い修飾語句・関係節・分詞句などの重い説明が続くときは、名詞の前に wa を置いて予告する。

短い修飾は無標識でもよいが、長い修飾では構造の明示を優先する。

  • la wa homo giu sidib apud fenestro venib = 窓のそばに座っていたその人が来た
  • la wa libro giu mi lastage achetib = 私が昨日買った本

16. 発音・強勢・綴り

語はできるだけ綴りどおりに読まれる。強勢は原則として 後ろから2番目の音節 に置く。

表記は、第1表記または第2表記を原則とし、従来のエスペラント特殊文字表記も許容する。

  • 第1表記の対応は ĉ→ch, ĝ→gx, ĥ→kh, ĵ→zh, ŝ→sh, ŭ→ux である。
  • 第2表記の対応は ĉ→ch, ĝ→j, ĥ→kh, j→y, ĵ→zh, ŝ→sh, ŭ→u である。

  • shati / ŝati = 好む
  • zhurnalo / ĵurnalo = 新聞
  • ve-nis, ra-jtis のように、強勢は後ろから2番目に置く

最後に「主の祈り」をこの方言で書きます。(サンプル例文に「主の祈り」を翻訳するのがよくあるようです)

 * gi- エスペラントのki-関係詞, puzi 祈願を表す動詞, and エスペラントのkaj

この方言エスペラント日本語
Mizes ⁠Patro
Wa mizes Patro, giu estis en la chielo,
Vies nomo puzik esti sanktigata.
Vies regno puzik veni,
Vies volo puzik farigxi,
giel en la chielo, tiel ankaux sur la tero.
Donik og mizes chiutaga pano al miz chitage.
And pardonik og mizes shuldoz al miz,
giel ankaux miz pardonis al mizes shuldantoz.
And ne kondukik og miz al en tento,
sed liberigik og miz de la malbono.
Amen.
Patro nia
Patro nia, kiu estas en la ĉielo,
sanktigata estu Via nomo.
Venu Via regno,fariĝu Via volo,
kiel en la ĉielo, tiel ankaŭ sur la tero.
Nian panon ĉiutagan donu al ni hodiaŭ.
Kaj pardonu al ni niajn ŝuldojn,
kiel ankaŭ ni pardonas al niaj ŝuldantoj.
Kaj ne konduku nin en tenton,
sed liberigu nin de la malbono.
Amen.
主の祈り
天におられる、わたしたちの父よ、
あなたの名が聖とされますように。
あなたの国が来ますように、
あなたの意志が成されますように、
天においてのように、地においても。
わたしたちの日々のパンを今日与えてください。
そして、わたしたちの負債を許してください、
わたしたちも負債者を許すように。
そして、わたしたちを誘惑に導かないでください、
しかし、悪からわたしたちを解放してください。
アーメン。